カーオーディオの音質を向上させるインナーバッフルの効果とは?3種類の材質による違いも紹介!

車で楽しくドライブする時には素敵な音楽が欠かせませんが、せっかくなら音にもこだわりたいものです。

そんなときにスピーカーにインナーバッフルを装着することで音響の改善が期待でき、自分好みの音楽環境を整える第一歩になります。

今回はインナーバッフルについて知りたい方に向けて、その構造や効果をご紹介します。

そもそもインナーバッフルとは?基礎をおさらい!

インナーバッフルは車のカスタムパーツの一つで、カーオーディオ関連の音質改善パーツです。

カーオーディオのカスタムにはスピーカーを変更して音質を向上させる方法がありますが、インナーバッフルはスピーカーの能力を最大限引き出すために装着するパーツとなります。

まずはインナーバッフルの原理や構造などをご紹介します。

インナーバッフルの原理は平面バッフルスピーカーから

インナーバッフルには構造的な原理となるオーディオ機器があり、平面バッフルスピーカーと呼ばれる構造のスピーカーが元になっています。

平面バッフルスピーカーは非常にシンプルな構造のスピーカーで、よく見る箱型の筐体に丸いスピーカーユニットが付いている構造ではなく、1枚の平面板にスピーカーユニットが取り付けてあります。

音を発生させているスピーカーユニットは電気信号を振動板に伝えて空気の振動に変換していますが、振動は前後に往復して動いてるので発生する音はスピーカーの前側だけではなく後側にも出ています。

音の振動は同位相の音波が合わさると増幅する特性がありますが、逆位相の音波では互いに打ち消す特性もあり、実はスピーカー単体で鳴らしたときにはスピーカーの前後に発生した音波が干渉して、特に低音を打ち消す効果が出てしまいます。

そこで平面バッフルはスピーカーユニットの前後を物理的に切り分ける効果があり、スピーカー後ろに発生した音波が前に伝わって共振することを防いでくれます。

この効果によってスピーカー単体の場合よりも音全体がはっきり聞こえるようになり、平面バッフルの面積を広げることで低音域の音をよりはっきり鳴らすことが出来ます。

単純な板にスピーカーを取り付けただけの構造なのでオーディオマニアの方が自作することも多く、平面バッフルのサイズによって音質や響き方をカスタマイズできる点が面白いところです。

インナーバッフルはスピーカーの取り付けベース

車用のインナーバッフルは平面バッフルスピーカーと近い構造のパーツですが、カーオーディオという特殊な環境に対応させるパーツでもあります。

カーオーディオのスピーカーは車内の各所に設置されますが、大きなスピーカーは前席左右のドアの内側やリア側などに設置されます。

メーカー純正のスピーカーは音質や音響的にそこまで優秀なものではなく、もっとカーオーディオの音質にこだわりたい方は純正スピーカーから社外スピーカーへ付け替えるカスタムを行います。

このスピーカーをそのままドア内の設置場所に取り付けると、オーディオ用スピーカーと同じくスピーカー前後の音波が干渉して悪影響が出ます。

そこで平面バッフルスピーカーと同じようにスピーカーの基部に取り付ける板状のパーツがインナーバッフルで、平面バッフルの効果をカーオーディオでも活用するためのパーツです。

インナーバッフルにはカーオーディオならではの効果もありますが、基本的な効果は音波の干渉の低減にあります。

インナーバッフルの取り付け場所は?

インナーバッフルはスピーカー取付部のドアパネルや車体パネルとスピーカー本体の間に挟まるように取り付けられます。

カーオーディオのスピーカーはドアパネルなどの一部に取り付け穴が設けられており、そこにネジ止めなどで固定されています。

車の純正スピーカーは一体型の樹脂部品を介して取り付けをしていますが、社外スピーカーに変更した場合にはインナーバッフルを車体パネル側に固定し、インナーバッフル自体にスピーカーを取り付ける形になります。

インナーバッフルで得られる4つの効果とは?

インナーバッフルをスピーカーに取り付けることで主に4つの効果を得ることができ、スピーカー自体を直接車体パネルに取り付けるよりも音質や音響を向上させてくれます。

音の干渉を減らして低音を響かせる

インナーバッフルの基本的な効果である音の干渉低減は、インナーバッフルでどの程度スピーカー取り付け穴を塞ぐことができるかで効果が決まります。

カーオーディオのスピーカーはドアパネルなどに空けてあるスピーカー取り付け穴に収めるように取り付けますが、その穴がふさがっていないとスピーカーの裏から発生する音波が前側に回り込んで干渉します。

この影響で低音が低減するなど悪影響が出ますので、スピーカー取り付け穴を可能な限りインナーバッフルで塞ぐことで干渉を低減させることができます。

インナーバッフルは汎用品や車種ごとの専用品がありますが、車体の形状にしっかりマッチするものが良いです。

ただし車のドアパネルや車体パネルにはスピーカー取付部以外にもさまざまな構造で穴が空いており、他の穴からスピーカーの音が漏れると干渉が多少なりとも起こります。

その際はカーオーディオにとって邪魔となる穴を塞ぐデッドニングを併用することで対策できるでしょう。

スピーカー取り付け部を補強して共振を低減できる

カーオーディオのスピーカーの問題として取付部の剛性が低いことがあり、インナーバッフルによって補強を施すことができます。

スピーカーの取付部はドアパネルや車体パネルにありますが、これらのパネルは板厚1mm〜1.5mmぐらいの薄い金属板で構成されています。

ここにスピーカーを直接取り付けるとスピーカーの振動が金属板に伝わってしまい、金属板自体を振動させて共振現象が起こってしまいます。

共振によって余計な音や音の干渉が発生して本来のカーオーディオの音を損ないますので、厚めの板で作られたインナーバッフルをスピーカーとの間に挟むことでスピーカーの振動が直接伝わりません。

またインナーバッフルの強度によって車体パネルを補強するため共振が起こりにくくなり、スピーカー本来の音を響かせることが出来ます。

社外スピーカーを正常な位置に取り付けできる

インナーバッフルの構造的な効果として社外スピーカーの取り付け位置を調整する点があり、初めて社外スピーカーを取り付ける方は見落としがちな点です。

これはドアパネル内側にスピーカーを設置する場合ですが、スピーカーの周りにはドアの構造部品や内部部品が所狭しと配置されておりかなり窮屈な箇所にあります。

社外スピーカーは大きさや奥行きが純正スピーカーとは違う形状であり、そのまま取り付けてしまうとドア内部で上下しているウインドウに干渉する場合があります。

そこでインナーバッフルでスピーカー取り付け位置をウインドウから離すことで干渉を防ぐ効果があり、おおよそ純正スピーカーと同じ位置に取り付けできれば余計なトラブルを避けられるでしょう。

スポンジでドア内部への音漏れを防げる

インナーバッフルによってスピーカーの後ろから発生する音波を防ぐことができますが、さらにインナーバッフルによってスピーカーの前側から発生する音波をしっかり車内に伝えることが出来ます。

カーオーディオのスピーカーはドア内部の取り付け部から車内に向けて音を伝えているのですが、実はその音の一部はドア内部の空間に漏れてしまっています。

そこでインナーバッフルにスポンジ状のクッション材を取り付けることで余計な音の漏れを防ぐ効果があり、インナーバッフルを有効活用することでスピーカーから発生した音をしっかり車内に伝えてくれます。

インナーバッフル全てにこういったスポンジが付属しているわけではありませんが、後付でもスポンジを貼り付ければ同様の効果は得られるでしょう。

コスパと音質で選ぶインナーバッフルの材質

インナーバッフルはその材質によってコストパフォーマンスや音質に違いが出るもので、主に次の3種類の材質があります。

樹脂製インナーバッフル(プラスチック製でも可)

樹脂製のインナーバッフルは最もコストパフォーマンスに優れた種類で、初めてインナーバッフルを使う方におすすめです。

車に標準装備されているスピーカーは取り付け部分が樹脂製になっているものが多く、社外スピーカーに交換するときにも同じようなタイプにするならば樹脂製インナーバッフルとなります。

樹脂製インナーバッフルはあらかじめメーカーや車種に合わせた形状で作られており、車体パネルにもスピーカーにも取り付けやすいパーツです。

一方で音質的な効果としては最低限の役割となっており、他の2つの材質と比べると共振の低減効果は多少弱めになります。

MDFボード製インナーバッフル

MDFボード製のインナーバッフルは木材に近い材質のパーツになっており、コスパと音質のバランスの取れたインナーバッフルです。

MDFボードは木材の繊維や粉末を樹脂で固めた材料で、木材のような加工製の良さと適度な強度、安価な価格でDIYでもよく使われる材料です。

このMDFボードをインナーバッフルとして切り出した製品となりますが、メーカーや車種に合わせた形状の製品のほか、汎用品として単純な円形の製品もあります。

またMDFボードは柔らかい材質なのでスピーカーの振動を車体パネルに伝えにくくなっており、共振低減の効果もあります。

価格的には汎用品は樹脂インナーバッフルと同程度の価格帯になりますが、メーカーや車種に合わせて加工した製品は多少高めになっています。

金属製インナーバッフル

金属製のインナーバッフルは音質向上を目指した製品となっており、コストはかかりますが性能の高いインナーバッフルとなります。

金属製インナーバッフルはアルミや鉄、真鍮や銅合金などで構成されており、これらの複合材料になっているものもあります。

金属製の板によってドアパネルの補強を行える他、余計な共振も大幅に低減させて安定した音質を生み出します。

さらにスピーカーの中低音域にハリを出してくれる効果も期待でき、カーオーディオの魅力を更に引き出してくれます。

金属製ということで価格帯は3種類の材質の中で最も高額ですが、音質にこだわりたい方におすすめのインナーバッフルです。

インナーバッフルは実際に効果があるの?口コミをご紹介

インナーバッフルは装着してみるまでは効果がわかりにくいパーツですが、参考として実際に使用している方の口コミをご紹介します。

 

金属製は高価、MDF製は昔えらいことになり懲りた、ということで錆びない水がしみ込まない、安定の樹脂製です。

スピーカーに付属されるマルチブランケットより重量はありますが、素材由来の軽さはどうしようもないので、制振材をインナーバッフルの周りに貼り、少しでも余分な振動を抑えこんでます。

また、スピーカーのエッジ部分に分厚い防音テープを貼っているため、内張からもスピーカーを押さえつけている感じになっており、余分な振動はしてないと思います。

みんカラ

 

こちらの方は樹脂製のインナーバッフルを選択されましたが、高額な金属製や耐久性に不安のあるMDFボードより安定性のある樹脂製に満足されていますね。

音質的な部分は更に制振材などを貼り付けることで振動を抑えておられ、樹脂製インナーバッフルの弱点をカバーされています。

 

フロントドア周りの作業ついでにオーディオを変更。
木製のバッフルは気持ちの上で優しい音に感じます。

みんカラ


こちらの方は木製(MDFボード製)のインナーバッフルを装着されていますが、音質的な面で優しい音になったと感じていらっしゃいます。

MDFボードのインナーバッフルは丁度いい柔らかさと丁度いい強度が魅力の製品です。

以前、付けていたのはカロッツェリアの3,000円くらいの木でできたやつ。

少し前にツイーターを取り付けた時にインナーバッフルを何気に見たらネジ締めした辺りから割れ目?ひび割れ?みたいな状態になっていて締めてあったネジも緩くなっていて焦りました。

それを見て急遽こちらのメタルバッフルに変更しました。

これで音がかなり良くなりました。
パンチのある低音が出て中域の音も鮮明になりました。

改めてデッドニング個所も追加したのでその影響もあるかもです。
施工したデッドニング数個所剥がれていたので。

施工に初めてデッドニング専用ローラーを使用して施工しましたがこれは優れもので良く防音材がドアパネルに馴染みます。

みんカラ


こちらの方は木製のインナーバッフルから金属製の製品へ取り換えを行われましたが、取り付ける際の頑丈さなどをメリットとして挙げられています。

そして音質についてはかなり向上したとおっしゃっており、低中音域が鮮明になるなど確かな効果を感じていらっしゃいます。

インナーバッフルを取り付けるときの注意点

インナーバッフルはカーオーディオのカスタムパーツとしては簡単に取り付けできるパーツですが、取り付ける際にはいくつか注意点もあります。

車メーカー、車種やスピーカーサイズに対応した製品を取り付ける

インナーバッフルはスピーカーとドアパネル、車体パネルの間に挟まる製品ですが、適切に取り付けるためには対応製品を選ぶ必要があります。

ドアパネルなどスピーカーの取り付け部分は車メーカーごとに独自の形状を取っており、取り付けネジの位置もまちまちです。

インナーバッフルをパネル側に取り付けるには元のスピーカー取り付けネジを利用しますが、メーカーや車種に合わせて設計されたインナーバッフルを選ぶ必要があります。

またスピーカーにも16cm、17cmなどサイズの違いがあり、スピーカーサイズに対応したインナーバッフルにしなければなりません。

スピーカー自体の取り付け位置にも違いが出てきますので、車体側とスピーカーの仕様をしっかり確認してインナーバッフルを選定しましょう。

MDFボードのインナーバッフルは湿気、水分で劣化する可能性あり

MDFボード製のインナーバッフルはコストと音質性能のバランスが取れた使いやすい製品ですが、長期間使用すると湿気や水分で劣化して使えなくなることがあります。

MDFボードは木材の繊維や粉を固めた材質で加工製は良いのですが、ボード全体が多孔質のスポンジのようになっているため湿気や水分を吸い込みやすい素材でもあります。

車のドア内部にインナーバッフルを取り付けると、隙間から入り込んだ湿気や染み込んだ雨水の水分がMDFボードに吸い込まれてしまい、次第にMDFボードが膨れたり割れが入ったりと問題が起こります。

また吸い込んだ湿気によってカビも発生しますので、MDFボードのインナーバッフルは気づいたときにはボロボロになっていることも多いです。

MDFボードの表面に塗装を施したり防水加工をすることで長持ちさせることはできますが、少しずつ劣化は避けられないためたまにチェックしたほうが良いです。

汎用品はスピーカー取付部の加工が必要な場合も

インナーバッフルには汎用品と呼ばれる製品がありますが、汎用品を取り付けるために追加の加工が必要となります。

インナーバッフルは車メーカーや車種に合わせた形状の製品が基本的には必要ですが、汎用品のインナーバッフルは多くの車に使えるように最小限でシンプルな形状になっています。

汎用品は取り付け穴もない単純なMDF製の円形ボードが多く、車体側とスピーカー側それぞれの取り付け穴に合わせてドリルで穴を空けたり、取り付けネジも選定する必要があります。

汎用品なのでインナーバッフル自体は安価で選びやすくはありますが、後加工の手間は結構面倒なものです。

インナーバッフルのおすすめ

インナーバッフルはさまざまなメーカーから製品が発売されていますが、今回は何種類かオススメの製品をご紹介します。

Deepa 樹脂製汎用インナーバッフル トヨタ、日産等対応

Deepaが販売している樹脂製インナーバッフルは複数の車メーカーに対応した汎用インナーバッフルとなっており、初心者の方にも扱いやすい製品です。

この汎用インナーバッフルには取り付け穴が既に空いているのですが、トヨタ、日産、スバルなどさまざまなメーカーの車にマッチするように何箇所も取り付け穴がありますので面倒な後加工が必要ありません。

スピーカーの取り付け穴も8箇所設けてあるのでスピーカー側の取り付けもフレキシブルで、多くの製品を簡単に取り付けられます。


価格帯も1,000円前後ですのでお求めやすいインナーバッフルとなります。

Deepa 樹脂製インナーバッフル 三菱車対応

こちらはDeepaの樹脂製インナーバッフルの三菱車対応製品で、三菱車はスピーカー取り付け部分が他社と形状が違いますのでこちらが必要です。

三菱アウトランダー、ekワゴン、ekスポーツなど複数の三菱車に対応しており、ドアパネル側の独特の取り付け構造に対応しています。

また17cmの大型スピーカーが取り付けられる製品になっています。


価格帯は他の汎用インナーバッフル同様1,000円前後であり、コスパに優れる製品です。

Pioneer/carrozzeria UD-Kシリーズ MDF製インナーバッフル

カーオーディオパーツの大手であるcarrozzeriaが展開するシリーズにUD-Kシリーズがあり、メーカー対応したMDF製のインナーバッフルとなります。

このシリーズは1つの製品でいくつかの車メーカーの取り付け位置に対応しており、国産メーカーだけでなく海外メーカーにも対応している点が便利です。

取り付け穴はあらかじめ加工されていますし、スピーカーサイズも16cm、17cmに対応した製品がありますので、選択肢が多く使いやすいです。

またMDFボードの上に塗装が施されていますので湿気などに対しても強く、耐久性もある製品です。

価格帯はおおよそ4,000円前後となりますが、一部の専用設計品は高めの価格に設定されています。

Pioneer商品ページ

KENWOOD 高音質ハイブリッドブラケット

KENWOODのインナーバッフルである高音質ハイブリッドブラケットは、アルミダイキャストを使用した金属製インナーバッフルとなります。

アルミダイキャスト本体にスピーカー取付部用の制振ラバーを組み合わせ、複合的に高音質を実現する製品です。

アルミダイキャストの高剛性によって低音域を際立たせるとともに、制振ゴムによって中高音域もクリアに響かせるインナーバッフルとなっています。

取り付けもメーカーごとに対応した製品が揃っており、多くの車種に適用できるなど使いやすい製品です。


価格帯は6,000円〜10,000円台とかなり高額になりますが、カーオーディオの音質を追求する方向けの高性能な製品です。

KENWOOD商品ページ

まとめ

インナーバッフルはカーオーディオのスピーカーの音質改善用として確かな効果を得られるパーツであり、社外スピーカーへのカスタマイズを考えている方に合わせて採用していただきたい製品です。


樹脂製、MDFボード製、金属製それぞれにコスパや音質面でのメリットがあり、別の素材に切り替えて音質の変化を楽しむのも面白いでしょう。